The Little Engine That Could

コパデルレイバルセロナVSヘタフェを、スコアは聞いたけど詳細は知らずに見たら、ちょっと途轍もない内容だった。スターティングメンバーは、ジョルケラとグジョンセンが入ってるぐらいを除けば、特にカップ用って空気でもない。シュスターが来てからというものヘタフェにもグループとして機能するいいチームが完成しているらしい。アボンダンシェリがわざわざバルセロナのベンチに入ってきてサビオラと長い時間談笑しており、お互いリーベルとボカでもアルゼンチン人同士仲いいのはちょっと幸せな感じだった。ディフェンダーたちの隙間を縫って液体のようにゴール前に流れ込むイニエスタは、もはやどこへ出しても恥ずかしくないほど頼もしく思える。ファンブロンクホルストのショートパスがあまりにも洗練されたタッチで泣けそうだ。ジョルケラがいつも着てる燃えるような紅色のジャージはかっこいいな。今日も時間と空間を操って瞬間的に15人ぐらいに増えるバルセロナの良さが出たゲームで、闘牛士のような華麗なターンから放ったシャビのシュートに感心していたら2点目は更にとんでもなかった。ハーフウェイラインの向こう側でボールを持ったメッシが1人でキーパーを含む6人を抜いて決めたちょっとヒストリカルなゴールは、こういうのってジンクスしたくないのであまり言わない方がいいんだけど、アナウンサーの人が何回も言ってたようにまさしく23年前バルセロナにいたアルゼンチン人を思い出させるものでした。コパデルレイでヘタフェとの試合だからワールドカップイングランド代表を相手に同じことをするのとはもちろん意味合いは異なるけど、こんな別次元のプレーを見たのはみんな久しぶりで、1stハーフは異常なテンションの高まりとともに終わっていた。3-0で始まった後半は流石にかなり弛んだけど両チーム併せて4点入るなど動きがあって楽しかった。人間の可能性というものを見せてくれるいい試合でした。僕らが見たいのはスーパーマンの美しさで、チームはあくまでそれを引き出すためのsecondaryなものであって欲しいです。誰の顔も見えない勝利よりも、偉大なる者が天賦の才能を存分に発揮して凡庸な者を蹴散らし栄光を掴み取る姿にこそ感動する。気高いチャンピオンの美しさに嫉妬してその輝きを消すことだけに汲汲とする、彼らを自分たちのレベルに引き降ろすことしか考えられない志の低い輩がはびこる昨今、そんな小汚い弱者の罠を超越した獅子の力強さが我々を勇気付けるのです。こうして理想の世界と生き方の規範を体現してくれる、FCバルセロナほど素晴らしいものは他にありません。いずれにせよこれでコパは決勝まで行ける可能性が濃厚になりました。この際優勝してみたらどうかと思います。そういえばマラドーナは今入院しているそうですね。早く元気になって欲しいです。