His Left Foot

僕にとってFCバルセロナは何よりも大切なものだし、このことははっきりと言葉にして言わなければなりません。スペインダービーをようやく見ました。メッシが左足で叩き出した3ゴールはどれもそれぞれに感慨深かった。R.E.M.のスリートップが見れるのは今年が最後かもと言われていることもあり、3人が絡んでゲットした2点目は一層アンフォゲッタブルなマスターピースとなりました。00/01最終戦のいわゆる「リバウドの奇跡」のゴールを思い出させるようなロスタイムの3点目とかもう気絶しそうだった。相変わらず感受性が強すぎて死にそうです。というかFCバルセロナがないとマジで死んでしまいます。今週は特にそうだった。バルサは苦しんでいる人々のためにあるんだとユニセフとの提携が決まったときのインタビューでラポルタが語っていたように、過酷なリアリティに痛めつけられ大切なものを失い絶望に打ちひしがれたとき僕らが何より渇望するのはバルセロナの試合を見ることで、超一流を極めたプレイヤーたちの華麗なテクニックとあくまで自律的にゲームをコントロールする主体性のディスコースがもたらす美しいゴールそして甘美な勝利が、世界に再び意味を与えてくれるのです。何不自由なく安穏に生きて熱帯魚でも見るようにサッカーを楽しむ人には馬鹿馬鹿しく思えるかもしれないけど一日一日を生き延びるために僕はそれを本当に必要としていて、不確定性に満ちた世界の中で何を失うことがあってもクラブというものが無くなる事はあり得ないから、それは永遠を保証してそこに在り続けるものだから、最悪なアイデンティティクライシスの中にあって安心することができる。ジミー・バーンズがインタビューしたサポーターたちの中に、癌か何かで発声に必要な器官を切除した人がいて、その彼が何かを必死に言おうとしているのでよく聞いてみると「Bar〓a」と言っていたそうだ。その名を口に出して言うことは僕らに勇気を与えてくれます。『ロリータ』の冒頭っぽく言うと閉鎖音のbからオープンな基本母音のa、rのフラップを経てcの摩擦へと至る調音の運動がとても心地良い。Barcelonaと何度でも言いたくなる。何て美しい言葉なのでしょうか。