Some enchanted evening

再開したチャンピオンズリーグの熾烈な戦いが話題を集めている昨日今日ですが、ミッドウィークに大陸連盟主催のカップトーナメントを楽しむのは何もヨーロッパだけの特権ではありません。リベルタドーレス杯開幕節のvsコロコロ戦は今年初めて見るリーベルプレートの公式戦でした。サンチアゴのスタジアムはモニュメンタルと異なりスタンドが近くて、金網を隔てたグラウンドレベルに興奮した群集がひしめき合う闘技場さながらの熱気に満ちた空間を作り出していた。リーベルはリーグ初戦からここまでスターティングメンバーをほとんど入れ替えておらず、今回はヘルロがセンターに入ったことぐらいが目新しい変化です。だからといってチームが改善余地の無いほど完成してるって訳でもなくて、サイドではサムブエサとガルバンが未だコンディションのピークには程遠くドラマの無い地味なプレーに終始していた。フェラーリの機動性と技術の高さ、お洒落なクロスには相変わらず萌えるけど、ここもまだポテンシャルを十分に発揮してはいない感じだ。とにかく両サイドにスパイスが足りなくてロナウジーニョイニエスタが欲しいとか思いました。

ただ今年のチームは、ガジャルドに代わってベルッチが中心でやってるせいもあってか、華やかさや柔軟性を欠いている分、安定感と打たれ強さが増している気もする。特に2-1でリードした状況でファルカオが何でもない接触で退場になったとき、落ち着き払ってサパタ、アウマダを投入し華麗に苦境を切り抜けたパサレラは悪魔みたいにかっこよかったです。ルッセンホフからポジションを奪ったリバスは2ndユニフォームを着るとスペードのエースと同じぐらい真っ黒で、ゴール前にいるだけで弱い心を持つ者には近づき難くさせる迫力がある。しかもファルカオのファールより数十倍レッドカードに値するような、無茶なタックルを涼しい顔で仕掛けてくるあたり怖すぎる。5番の位置には元サラゴサポンシオが入っていて、こちらもアウマダとのポジション争いに勝利した感じだ。1点目のミドルは予期してなくて驚かされた。2点目を決めたファリアスは時間もスペースも無い局面でありえないボールの止め方をしていてまるでマトリックスを操り時空を捻じ曲げる超能力少年のようだった。とりあえずここまでは公式戦3連勝といい結果が出ています。今のメンバーでもっとチームを熟成していければと思うけど、そうできない事情もあるので悲しいところだ。完成ではなく常に解体への途上にある新大陸のチームは今この季節しか見られない蜻蛉の儚さを感じさせ、それだけに今日の勝利はカーペディエムの風流を嗜む楽しい夕べにしてくれました。