翼よ!あれが巴里の灯だ

緊迫した90分が終わり、FCバルセロナのカレンダーにはもう1試合分のスケジュールが書き加えられることとなりました。チャンピオンズリーグの決勝進出が決まり深い感慨の中にいます。ジョアン・ラポルタ就任から始まった復活劇が今まさに総決算を迎えようとしている。ファンになった時期がいわば暗黒時代の始まりと重なっている僕にとっては、まるで1つのストーリーの完結を待っている気分です。こんな感傷は嫌いだったんですが実際自分がそういう立場になってみるとどこまでもロマンに耽溺してしまう。素晴らしいゲームだった。入場のイムノから夕闇のカンプノウに浮かび上がるMES QUE UN CLUBのモザイク、そして最後に訪れた歓喜の瞬間まで、密度の高い時間に恐怖心を忘れ憑かれたように見入ってしまいました。終わってから数時間は感情が高ぶって何も考えられなかった。ビッグクラブのファンの癖にこういう場面に慣れていないので、どうリアクションしていいのかもよく分かりませんでした。まだ何を勝ち取ったわけでもないんですが、今はただこの充足感に浸っていたい。バルセロナの試合ってどうしてもニュートラルな視点では見れず、好きすぎるゆえにネガティヴなところばかり目に付くのが常でしたが、強くなったなと今日初めて普通に思いました。一刺しで死に至ることが無いだけベンフィカ戦より楽だとはいえ、攻守のバランスを問われる難しい第2戦。こんな局面をスコアレスドローで切り抜けられるのが今のチームなんですね。もうあまり恐怖を感じない。パリが楽しみだ。これほどまでにチームへの信頼に溢れた前向きな気持ちでいられるのも初めてです。