BA TIS TUTA

別れ際僕にAdiosと言って手を振ってくれる女の子が好きになりそうです。これは断じて妄想ではありません。小説「まいちゃんの潜水艦」を久しぶりに読んだら感動して微妙に泣いてしまった。今振り返ってみると政治的に偏向していてちょっとやばい作品だ。とくばんでは卒業したメンバーがほとんどの時間喋っていた。それを受けて今のメンバーはダメだとか昔の方が良かったというような論調で語る人がやはりいるけど毎度の事ながら馬鹿馬鹿しく思う。でもアイドルファンって本質的にそういうものなのかなという気もするように最近はなりました。私たちアイドルファンはretrospective(回顧的)な視点で物事を見る傾向が強い。未来に起こる何かのファンになるのは無理だし、現在というものが解釈された過去としてしか意味を持ち得ないことを考えればそれは当然と言えるだろう。論理的には過去を愛することだけが可能であり、だから僕らは例えば新メンバーなど、自分たちにとって心地よく完成された静的な意味の構造を不安定にする、新しい現在の登場をネガティブに捉える。不確定な今に向き合おうとしない過剰に過去志向のニヒリスティックな保守主義、懐古趣味ってあまりいいことだとは思えない。現在のメンバーを擁護するためには前にも言ったように4期までと5期以降とではやっていることの性質が根本的に異なるということを主張する必要がある。構造以前と以後の両者には、いわゆるアイデンティティを定義するためにポピュラーテイストに働きかける段階と、確立されたアイデンティティに定義されて新たな主体が生まれていく段階という決定的な差異があります。バラエティ番組は当然アイドルファンではなく一般視聴層に向けたものなんだから前者のパフォーマンスを好み、特定の志向に応えるべく特化された五期以降のチームに魅力を感じないのは当然だ。いずれにせよ改めて確認したいのはこういう議論を喚起してくれるのがモーニング娘。/ハロー!プロジェクトの魅力だし、こうしたアンオフィシャルなテクストもステージやテレビでのパフォーマンス同様に彼女らが提供するエンターテインメントの一環だということです。ポジティヴ、ネガティヴを問わずあらゆるものを自らの意味の中に織り込んでいくインターテクスチュアルな存在。これこそインターネット時代のアイドルが持つ新しさだと思います。